ビットコインが決済用の通貨としてリリースされたのが、
2009年こと。
その4年後の2013年。
当時19歳の天才少年、ヴィタリック・ブテリン氏は、
ビットコインの論文を見てこうおもった。

え、用途が決済だけなんてもったいなくね?



この技術をつかえば、もっといろんなことができるんじゃね?



アプリケーション開発のプラットフォームとなれるような
ブロックチェーンを開発したら、 おもろいんじゃね?
世界中の数千台ものパソコンにおなじデータを記録することで、
不正や改ざんを防止する仕組みのこと。
ヴィタリック少年のこのビジョンは、わずか数年後に現実のものとなった。
ビットコインの論文を書いた身元不詳の天才と、
ロシアの若き天才とが共鳴し合い、
とんでもないブロックチェーンが爆誕。
そのブロックチェーンの名こそ・・・
現在では、 「ワールドコンピュータ」と呼ばれるまでに成長を遂げた、
業界屈指のブロックチェーンである。



世界の計算機!



直訳ダサッ!
ワールドコンピュータ「イーサリアム」の特徴3つ


- まるで大型客船やぁ〜
- まるで自動販売機やぁ〜
- まるでアベンジャーズやぁ〜
まるで大型客船やぁ〜


イーサリアムは、アプリケーションという名の乗客を多数のせた、
大型客船のようなものである。
つまり、アプリケーション開発のプラットフォームだ。
イーサリアム号という船 (プラットフォーム) の上で、
たくさんのアプリケーションが開発され、 動作しているということだ。
その数・・・なんと!?
いや、正確な数はわからんけど、
オモテに出てくる情報だけでも、
100以上のアプリケーションがありそうだ。
・・・と、いうことは、 最低でもその10倍、
1000以上のアプリが、 イーサリアム上で稼働しているとおもわれる。
気になって調べてみたら、 2020年時点で1000個を超えてるみたいなので、
2年後の今だったら、3000とか5000個あってもおかしくない。



まさに大型客船やぁ〜
2021年に話題になったNFTも、
その多くはイーサリアム上で取引されている。
Non Funsible Token (ノンファンジブルトークン) の略で、
デジタルアート、音楽などの「複製可能な」デジタルコンテンツの、
“複製前の原本 (元データ)” であることを、ブロックチェーン上で証明できるようにした技術。
これにより、1点ものの美術品のような希少性を、
デジタルコンテンツでも表現できるようになった。
なぜ、 NFTの多くがイーサリアム上で取引されているのか?
理由は2つ。
- NFT販売をおこなっているOpenSeaという
最大手マーケットプレイス (楽天・Amazon的なイメージ) が、
イーサリアム上で稼働しているから - NFTを発行するための規格 (ERC721) が、
イーサリアムの規格だから
といった感じで、 ヴィタリック少年が描いた未来図どおり、
こんにちでは多くのアプリケーション・販売プラットフォームが、
イーサリアム号という大型客船に乗船しているのだ!



そりゃビットコインに次ぐ時価総額2位にもなるよね!
ところでなぜ、 イーサリアム上でのアプリケーション開発が盛んなのか?
おもな理由は、アプリケーション開発のコストをおさえられるからである。
従来は、AWS (Amazon Web Services) やGoogle Cloudなど、
大手企業が保有するサーバーを有料で借りて、
そのサーバー上にアプリを構築するのが一般的だった。
しかしイーサリアムの登場によって、
AmazonやGoogleといった、 中央集権的な機関を介さずとも、
ブロックチェーン上にアプリを構築できるようになった。
ブロックチェーンでは、数千台ものパソコンで、
分散してデータやアプリを管理している。
その恩恵として、
- サーバー代が不要になったり、
- 1箇所集中のサーバーのように、攻撃やアクセス集中によるサーバーダウンが起きづらい
というメリットがある。
このように、 中央集権機関にたよらず、
イーサリアムなどのブロックチェーン上で、
分散的に管理されるアプリケーションのことを、
・・・略して、 「DApps (ダップス)」と呼んでいる。
まるで自動販売機やぁ〜


イーサリアムをアプリケーション開発のプラットフォームとすべく、
ヴィタリック少年は、ビットコインにはなかった機能をイーサリアムに実装した。
その名も・・・
スマートコントラクトは、 「自動販売機」 によくたとえられる。
お金を入れたら缶ジュースやペットボトルが出てくるアレ。
もしかしたら、
じつは中にオッサンが待機していて、指示を受けたら缶ジュースを出す・・・
なんて都市伝説を期待しているのかもしれないが、
名前に「自動」とつくだけあって、 通常は自動で取引が可能だ。
- 500円が投入されたら、
- 残高表示を500円にし、
- 押されたボタンに対応したジュースを取り出し口に排出し、
- お釣りを返却する
みたいなプログラムが自動実行され、
第3者の介入なくして、ぼくらはつめた〜いジュースを手にすることができる。
まさにこれとおなじような機能が“スマートコントラクト”だ。
第3者の介入なくして、プログラムの自動実行により、 契約を履行できる。
たとえば、
仮想通貨を1年間預けたら、年利10%の利子をつけて返す
みたいな契約が、 自動で実行できる。
契約内容はブロックチェーン上に刻まれ、
不正や改ざんができないし、プログラムなので確実に履行される。



まさに自動販売機やぁ〜
まずは、 すべて数字であいまいさのない契約が可能な、
金融の分野でスマートコントラクトが普及した。
それが2020年頃から話題になった、
・・・略して、 「DeFi (ディファイ)」である。
第3者の介入を必要としないので、
手数料が安く、 その分を利率に還元できるため、
仮想通貨ホルダーのあいだで人気を博している。
というように、スマートコントラクトの技術を活かした事業は、
今はまだ金融に限定されているが、 契約を自動化できる特性を活かし、
物販、 不動産、レンタル事業など、 幅広い事業への展開が期待されている。
まるでアベンジャーズやぁ〜


イーサリアムには、アメリカ市民を守るスーパーヒーロー集団のような、
強力なサポーターが背後に存在する。
それが・・・
だ。
JPモルガン(米大手金融機関)、マイクロソフト、インテル、 トヨタ、三菱UFJ銀行・・・など、
世界的な大企業を筆頭に、 500社以上の企業が加盟している。
イーサリアムのブロックチェーンを軸に、
さまざまなアプリケーションやプラットフォームを開発し、
ビジネスへの活用方法を探る非営利の団体組織である。



まさにアベンジャーズやぁ〜
(ちなみにヒーローも多くの場合、 非営利で無報酬である)
それほどまでに、
イーサリアムのビジネス活用に期待が寄せられているということだ。
ところが・・・
2017年に発足したわりには、目立った活動の形跡はない。
企業連合があるからといって、手放しに喜べるものではないが、
仮想通貨業界はまだまだ未成熟で、未開拓だ。
イーサリアムのこれからに期待しよう。
イーサリアムの欠点


大型客船で、 自動販売機で、 アベンジャーズが背後に居るイーサリアムだが、
とうぜん欠点もある。
何度も言うように、 イーサリアムはさまざまなアプリケーションが乗船している、
大型客船だ。
アプリケーション内で独自の仮想通貨を流通させている場合もあるが、
たとえばゲームアイテムを購入するときにイーサリアムを必要とするなど、
多くアプリは、 イーサリアムを基軸通貨として使用している。
つまり、アプリが増えれば増えるほど、イーサリアムの取引量は膨らみつづける。
もちろんそれはいいことなのだが、反面、
処理待ちや手数料の高騰などの問題が発生している。
処理待ちが起こる原因
イーサリアムは、
1秒間に最大で20取引 (20トランザクション) ほどしか実行できない。
これは、イーサリアムのネットワークが、
「プルーフオブワーク」というルールによって運用されているからである。
ブルーフオブワークについてカンタンに説明しよう。
仮想通貨の取引を記録するには、
単純な暗号問題を解く (ハッシュ計算をする) 必要があるのだが、
この計算作業をプルーフオブワークと呼んでいる。
(仮想通貨用語で頻出する、
コンセンサスアルゴリズム・マイニング・ブロックチェーン
という用語がわからない人も一読しておこう)
しかし、この問題の難易度が低すぎると、 不正がカンタンにできてしまうため、
難易度をある程度上げる必要がある。
ビットコインを例にあげると、2020年以降、 毎秒1垓回以上
(毎秒10兆回の計算能力を持つコンピュータでも1000台必要) も計算が必要な難易度
その反面、 難易度を上げると、問題を解くまでに時間がかかってしまうため、
これがボトルネックとなって、1秒間あたりの取引処理量が決まってしまうのだ。
これまたビットコインの例では、約10分で解ける難易度で、
1秒間あたり最大7件の処理能力
ビットコインと比較すれば、 イーサリアムは2倍以上の処理能力があるが、
さまざまなアプリケーションを抱えるイーサリアムにとって、
この処理能力はあまりに力不足だ。
クレジットカードの秒間処理数が2000件前後という事実からしても、
性能不足はあきらか。
手数料 (ガス代) が高騰する原因
仮想通貨の取引手数料は、 しばしば「ガス代」と呼ばれる。
イーサリアムという大型客船を動かすための、
「ガソリン」とイメージすればわかりやすいだろう。
イーサリアムでは、このガス代の高騰が問題となっている。
もっとも単純明快な原因は、イーサリアムの価格高騰だ。
こればかりはどうしようもないが、1万円のNFTを買うのにも、
手数料が4000〜5000円かかったりすることもあって、
笑えないほど高額になってきている。
ところで、なぜ取引に手数料がかかるのか?
理由は3つある。
- マイニング報酬を払うため
- ネットワーク負荷軽減のため
- 不正を防止するため
それぞれカンタンに説明しよう。
マイニングとは、先述した、
“取引を記録するための暗号問題を解く計算”のことを指す。
とはいえ、タダで計算してくれる人はいない。
計算すれば報酬がもらえるからこそ、計算をしてくれる人があらわれ、
イーサリアムのネットワークを維持できているのだ。
手数料は、 その人たちへの報酬として当てがわれる。
要は、「ネットワーク維持費として」、 手数料が必要なのだ。
また手数料は、 車の渋滞緩和みたいな役割も果たす。
たとえば、渋滞を回避し、 目的地に早く着きたい人は、
高速料金を支払って、 高速道路を走行する。
ゆっくりでいい ・ 渋滞してでも安く済ませたい人は、一般道を走行する。
高速道路と一般道があることで、ひとつの道にすべての車が集中せず、
渋滞緩和の効果がある。
これとおなじように、イーサリアムの取引も、
- 取引を早く処理したい人は高めの手数料を払い、
- 遅くてもいい人は安い手数料にする
ため、取引の渋滞緩和がある程度可能になっている。
これが、“ネットワーク負荷軽減のため”に、 手数料が必要な理由だ。
さいごに、“不正を防止するため”に、 手数料が必要な理由を説明する。
手数料が0円なら、 ユーザーにはメリットしかなさそうに見えるが、
じつはデメリットもある。
イーサリアムを取引するのは、 誠実なユーザーばかりとはかぎらないのだ。
なかには、不正をしてイーサリアムを盗もうとするハッカーもいる。
ブロックチェーンに攻撃を仕掛けるにあたっては、
不正な取引を大量におこなう必要がある。
このとき手数料が0円だと、 攻撃のコストも0円ということになるので、
容易に攻撃ができてしまう!
これが手数料があれば、攻撃をしかけるためのコストとなり、
不正をするものにのしかかってくるので、不正がしづらくなっている。
なお、イーサリアムブロックチェーンに攻撃をしかけるためのコストは、
2020年時点で、 1時間当たり4000万円と言われている。
これだけ高額だと、攻撃が割に合わなくなるので、
不正をくわだてるものはほぼあらわれない。
環境負荷への懸念
イーサリアムは“大型客船”であるがゆえに、
船を動かすための燃料消費も膨大だ。
“ビットコインの例では、2020年以降、 毎秒1垓回以上もの計算をしている”
と言ったが、この計算はある特定のひとりがやるわけではない。
一番早く問題を解いた人にほとんどの報酬が配られるため、
報酬が欲しい人全員が、 同時に計算をする。
イーサリアムでは、2022年6月時点で、
常時2000〜3000もの拠点で、 それぞれ報酬を得るための計算がおこなわれている。
その年間電力消費たるや、 小国1国をも超えるとされる。
「持続可能な (サステーナブルな) 社会を!」
と声高に叫ばれるなか、電力消費による環境への負荷は、
米国や欧州でたびたび法規制化が議論されるほどに問題視されている。
以上の欠点は、それぞれ決して小さくはないが、
イーサリアムに巨大な需要があることの裏返しでもある。
イーサリアムは欠点を克服できるのか?!


そしてもちろん、欠点を欠点のまま放置するイーサリアムではない。
2022年10月頃には、上記の欠点どもを一層する、
超大型アップデートが控えている!!
- プルーフオブワーク (PoW) からプルーフオブステーク (PoS) への移行による、
電力消費2000分の1 - ❶+シャーディング(パソコンへの負荷を減らし、 一度に処理できる取引数を拡大する技術)
の実装による、1秒あたりの取引処理可能数の大幅改善 - ❶❷ による取引手数料の大幅低減
❷❸ についての具体的な数字はあきらかになっていないが、
変更の大きさから察するに、 大幅に改善されるとみて間違いない。
ただ、その変更によるインパクトの大きさからか、
アップデートには慎重を期しているようだ。
2021年〜現在まで、数回アップデートを延期している。
本記事を執筆中の2022年6月末にも、約3ヶ月の延期が決定した。
- 2022年中に実施されるのか、
- 2023年に持ち越しか、
- はたまた、やるやる詐欺のまま終わってしまうのか?!
イーサリアムへの需要の大きさを考えたら、
やらずに終わるのはありえないとおもうが・・・
しずかに見守るしかなさそうだ。
イーサリアムはこれからまだ伸びる?


イーサリアムと言えば、なにかと、
“まさに自動販売機やぁ〜”な“スマートコントラクト”が取り沙汰されるが、
じつはスマートコントラクトは、イーサリアムだけのものではない。
たしかにイーサリアムが生まれた当初は、
スマートコントラクトは唯一無二の技術だった。
しかし、そのプログラムのソースコードは公開されており
誰でも閲覧可能である。
有能な開発者たちの手によって、
スマートコントラクト機能を有した、 イーサリアムの地位を狙う、
第2、第3のイーサリアムが生みだされている。
とはいえ、もっとも早くアプリ開発のプラットフォームとなったイーサリアムに、
今はまだ一日の長がある。
現時点 (2022年6月) で、
のは、相変わらずイーサリアムだ。
その優位性を疑う声も出てきてはいるものの、一度王者となった通貨の地位は、
カンタンに覆せるものではない。
そのことは、ビットコインという歴史がすでに証明している。
(決済機能としてはすでに2流・3流なのに、価格は1流のまま)
もちろん、永遠に玉座に鎮座することはできないだろう。
しかし、 業界自体がまだまだ発展途上で未成熟だ。
イーサリアムがプラットフォーマーとしての王者の座を明け渡すには、
まだ早すぎる。
イーサリアムは2015年に誕生し、
2020〜2021年にDeFi、 NFTが爆発的に普及した影響で、
その地位をたしかなものにした。
ここから予想するに、 イーサリアムのピークは2025〜2026年頃だろう。
そしてその後、2030〜2031年頃に、
代替技術によって引導を渡されるかもしれない。
「誕生⇔人気が出る (急成長する)⇔ピーク⇔衰退」のそれぞれの期間は、
だいたいおなじ長さになるというプロダクトライフサイクル理論より
イーサリアムに投資するなら、 2023年頃までがチャンス!?


先述のとおり、 イーサリアムのピークを“2025〜2026年頃”と仮定するなら、
その2年前くらいまでが仕込みのチャンスと考えている。
あまり価格が高騰しているときに買っても、もらいが少ないため、
市場が暴落したときなどに積極的に仕込んでいきたい。
イーサリアムの価格上昇に前向きな情報として、
- イーサリアムの大型アップデート (2022年10月頃を予定)
- 開発者ヴィタリック・ブテリン氏が提唱するあたらしい概念、
ソウルバウンドトークンの実用化 (2022年中目処)
などがある。
いずれも2022年中が予定されていることから、
早めに仕込んでおいたほうが良さそうだ。
国内取引所でイーサリアムを購入するなら、
手数料の安いGMOコインがイチオシ!
手数料無料をうたっている取引所もあるが、
その裏で実質手数料 (スプレッド) が高いので気をつけよう。
手数料の安い取引所で、まとまった額を購入するのが理想だが、
- いつ買っていいかわからない
- 価格変動がコワい
というのであれば、手数料が犠牲になるのには目をつむり、
コインチェックの積立を利用するのも手だろう。(毎月1万円〜積立可)
積立ならリスクを減らしながらも、
少しずつイーサリアムの保有量を増やせるため、
イーサリアムの価格が上昇したときにリターンを得られるだろう。
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